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【ロンドン事務所】英国地方自治体のワクチンコミュニケーション
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世界経済フォーラムの調査によれば、英国はCOVID-19に関して最も「Vaccine Confident(ワクチンへの信頼がある)」国と言われていますが、ソーシャルメディア上では、特に一部のマイノリティの間でワクチンに関する誤情報の拡散が問題化しています。これに対する地方自治体・中央政府の取り組みについて紹介します。
ロンドンに次ぐ民族的多様性を持つバーミンガム市の「コミュニティ・チャンピオン・プログラム」では、地域住民の無償ボランティア(チャンピオン、「熱心な擁護者・推進者」の意)が、家族や友人に向けて、COVID-19に関する最新の正確な情報をシェアする活動を行っています。同市では700人以上がチャンピオンとして登録されており、チャンピオンは専門家によるオンラインQ&Aセッションや多言語対応の説明素材の提供などの支援を市から受けることができるようになっています。
ロンドンのウォルサムフォレスト区では、住民アンケートの情報をもとに、ワクチンに抵抗感がある人を態度別に3つのグループに分類し、グループ別にコミュニケーションの手法を変えるとともに、地域コミュニティのリーダー、例えば宗教指導者などにも協力を求め、地域住民の関心を引くことに注力するなど、ターゲットを絞ったアプローチを徹底しました。これらの取り組みはワクチン接種を受けたいと考える人の増加などの形で奏功しており、区は今後もこの取り組みを進めることとしています。
また、英国政府のデジタル・文化・メディア・スポーツ庁は、誤情報を拡散しないためのメッセージをSNSで発信する際に使用できる、画像やビデオなどの「ツールキット」をネット上で公表しました。ビデオの尺や画像の寸法などがSNSでの表示方法に最適化されており、素材に添える文章例も含まれるなど、SNSでのシェアを促す配慮がなされています。
今後日本においても、ワクチンに対する誤情報の拡散が大きな課題となることが予想されることから、これらの取り組みを大いに参考にしたいと思います。さらに詳しい内容は、ロンドン事務所ホームページをご覧ください。
https://www.jlgc.org.uk/jp/ad_report/vaccine_communication_of_la_in_the_uk/
ロンドン事務所所長補佐 濱本