11月28日から12月6日にかけて,ロンドン北東部に位置するウォルサム・フォレスト区でナショナルツリーウィークが開催され,イギリスと日本との関係を祝し日本から寄贈された桜を含む,4000本以上の樹木が植えられた。
ナショナルツリーウィークは,街の緑化を推進し,有害な排気ガスの削減と住民のメンタルヘルスの向上などを目的に,ウォルサムフォレスト区のツリーカウンシル(The Tree Council)によって毎年開催されている。今年は,日英文化季間事業の一つである日英桜植樹プロジェクトにより寄贈された桜の植樹も併せて行われ,11月27日,同区の議会関係者や地元の小学生によって桜が植えられた。
桜の植樹の様子
https://www.youtube.com/watch?v=h8Wv25QYJOY
「日英文化季間 2019-2020」とは,日英首脳の合意を踏まえ,日本開催のラグビーワールドカップ 2019 と東京 2020 オリンピック・パラリンピック競技大会を橋渡しする形で展開されたキャンペーンである。英国では在英国日本国大使館をとりまとめ役に日本を紹介する「日本文化季間」,日本ではブリティッシュ・カウンシルと駐日英国大使館をとりまとめ役に英国を紹介する「UK in Japan」の下,日英間の相互理解を深めるべくさまざまな団体が多様なイベントを開催した。英国では,文化・芸術分野の交流、医療・科学技術・産業分野等におけるイノベーションや先端技術まで,日本が有する多面的な魅力を伝え,また地域や草の根でこれまで行われてきた手作りの活動をさらに促進し,英国の方々の日本への関心を深めることを目指しており,開催期間中に英国では数百のイベントが催された。
日英桜植樹プロジェクトは,日本人が愛する桜を英国の人々と分かち合いたいという想いからスタートした草の根プロジェクトだったが,日英両国の当時の首相により待望されるまでになり,両国の友好を祝う「日英文化季間2019-2020」の一つにも位置付けられた。このプロジェクトは英国全土に広がり,イングランド,北アイルランド,スコットランドおよびウェールズにある 160 を超える公園,ガーデンのほか,400 以上の学校に桜の木が寄贈される。英国の広い地域に桜を植樹することで,両国民がお互いに親近感を持てる関係にしたいという期待が込められている。植樹された桜は友好のシンボルとなり,その地域の現在から将来のコミュニティーによって大切に育てられる。
今回ウォルサムフォレスト区のレンリーレオナルドガーデンに植えられた桜は,色合いや開花時期,歴史的意味合いを考慮して「タイハク種」など3種類が選ばれた。「タイハク種」は薄白色の大きなら花を咲かせるが,日本では1927年に絶滅してしまった後にイギリス人桜研究家のコリングウッド氏によって再度日本に根付いた種であり,イギリスのおかげで絶滅を免れた桜を今度は日本から贈答するという形となった。
桜の植樹は英国各地で2019年秋から2021年冬にかけて実施される予定である。近い将来、「お花見」が英国全土で見られる日が来るかもしれない。
(所長補佐 阿部)