2021年11月、英国ウェールズでは、スコットランドにつづき、選挙での投票年齢を18歳から16歳に引き下げることを決定した。
この年齢引き下げにより、2021年5月に予定されているウェールズ議会選挙から、およそ7万人が新たに有権者となる見込みだ。
若者の政治に対する関心の高さ
ハダースフィールド大学が昨年、ウェールズで実施した調査によると、16歳と17歳の住民に対する「新たに選挙権を得たいか」という設問への回答はYESが72%、NOが12%だった。
一方同調査で、ウェールズ議会の活動内容をどの程度理解しているかについては理解度は低い傾向にあるという結果になっており、若者の政治参加への関心の高さは、議会への理解度と必ずしも一致していない。
今後、若者に議会への理解を深めてもらうため、ウェールズ議会は、アニメなどの教材を学校に提供する予定だ。
1992年以降、16歳と17歳の権利拡大を求めてキャンペーンを展開するなど若者の社会参画を支援する団体「ブリティッシュ・ユース・カウンシル」は、スコットランドやウェールズに留まらず、英国全土で、16歳以上の若者が、国政選挙も含むすべての選挙において選挙権を得ることができるよう、今後も活動を続けていくと表明している。
新たな制度導入へとつながるか?
英国の他の地域と同様に、ウェールズでも有権者は、事前に当該自治体に選挙人登録をしなければならないという規則があるが、この規則を知らない若者は少なくない。このままでは、今回選挙権を得る若者の一部が、選挙権行使の機会を失う恐れがある。
このことから、選挙管理者が有権者を自動的に選挙人名簿に登録するという新制度導入への期待が高まっている。既存の厳格な制度を周知啓発するのではなく、制度自体の変更により手続の煩雑さを解消しようという試みが実現するのか、今後の動向に注目だ。 (所長補佐 新野 2020.11)