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【ロンドン事務所】AIが世界の医療を変える-ロンドン発の医療診断アプリ-
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イギリスにおいても年々増え続ける社会保障費は深刻な問題となっています。
特に高齢人口の増加による医療費増大、医療ニーズの高度化・複雑化が進む中
で、イギリスの公的医療機関であるNHS(国民保健サービス)は、原則無料での
診察を提供しているため、慢性的な財政難、医療従事者の不足、待機時間の長
期化などが常に指摘されています。
また、BBCニュースによると(※1)、かかりつけ医を予約した患者が予約日に
現れなかったことにより、年間1,500万件以上の診察が無駄になり、金額にする
とおよそ2億1600万ポンドの費用が発生したことがわかっています。
そのような事態を打開すべく、2013年に創業したロンドン発のスタートアップ
企業Babylon Health(※2)は、NHSと協同してスマートフォン診療・AI診断
アプリを開発しました。使い方は、アプリをダウンロードし、テキストで症状
を入力すると、AIがチャットによる会話を通じて診断結果を提示する仕組みで
す。ここまでは費用は発生せず、さらなる診断や治療が必要となれば、月9.99
ポンドの定額制、あるいは一回25ポンドで電話・ビデオ通話による医師・専門
家への相談が可能となり、そこから必要に応じて処方薬の宅配や薬局での受け
取り、また対面での診療予約も行えます。このアプリは、数億のデータ、数千
のテストを経て実装に至っているため、独立した第三者機関(※3)の審査に
も合格する質の高い医療サービスを提供するだけでなく、医療提供側の負担軽
減や人員削減、あるいは無用な通院を減らすことにも貢献しています。
現在、イギリス国内にとどまらず、アイルランド、ルワンダなど世界で約200万
人がこのアプリを利用しています。更なるアプリの精度向上や、幅広い世代に
アプリを普及させるなどの課題は残りますが、AIが世界の医療サービスを大き
く変える日も、それほど遠くないかもしれません。
(※1) https://www.bbc.co.uk/news/health-46732626
(※2) https://www.babylonhealth.com/
(※3) https://www.cqc.org.uk/
ロンドン事務所 所長補佐 田島