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【ロンドン事務所】ウィンドラッシュ世代
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「ウィンドラッシュ世代」とは、今では英連邦加盟国(Commonwealth of Nations)
となったジャマイカやカリブ海地域から英国に移住した移民やその子供たちを
指します。彼らは1948年から1970年代にかけて、第二次大戦後の英国の労働力
不足を補うため、英国政府によって招き入れられ、社会復興に貢献してきた人
々です。彼らが英国に旅立つために乗船したエンパイア・ウィンドラッシュ号
にちなみウィンドラッシュ世代と呼ばれるようになりました。
このウィンドラッシュ世代が、奇しくも彼らの初上陸から70周年にあたる今年、
英国のマスメディアで大きく取り上げられています。
事の発端は2014年の改正移民法で、政府による不法滞在者取締り強化の一環に
より、移民に対し国籍証明書や永住許可証などの正式書類の提出が求められた
ことから始まりました。というのも当時ウインドラッシュ世代の親と共に渡英
した子どもの多くは旅券やビザなど公的書類を持たずに入国したため、今とな
っては合法的に居住していることを証明するのが難しい状況にあります。
さらに今年になり、1971年制定の移民法により彼らが永住権を与えられた際の
記録を内務省が紛失するという政府の重大ミスが発覚しました。
改正移民法案により就労や社会保障の受給時に身分を証明する書類が必要にな
ったことで、ウィンドラッシュ世代は不法滞在の扱いを受け、中には強制退去
させられた人々もいます。
このことに対し、概ねマスコミは英国社会の発展に貢献してきたウィンドラッ
シュ世代を同情的に報じ、さらには国の責任を問われたアンバー・ラッド内務
大臣が辞任する顛末となりました。
移民の先駆けとなったウィンドラッシュ世代は、様々な人種差別に遭いながら
も今日の英国の繁栄に貢献してきた存在として広く認識されており、今回の不
当な扱いが人々の高い関心を集めています。
ロンドン事務所 所長補佐 山口