日本では、住民サービス向上の観点から、行政サービスを一つの窓口で受けられる総合窓口を設置したり、設置を検討したりする自治体が増えている。フィンランドの自治体における総合窓口について紹介する。
フィンランドでは、すべての自治体に1カ所の窓口のみで複数の業務に対応する総合窓口がある。(ここでいう総合窓口とは、 自治体のすべての業務を一つの窓口で取り扱うもので、住民がワンストップでサービスが受けられる窓口のことである)また、336の自治体のうち、141の自治体に市民サービス窓口(Citizen Service Office)がある。141の自治体に、176の市民サービス窓口がある。
市民サービス窓口は、その自治体の業務だけではなく、他の自治体や国の業務、社会保険・福祉、税、雇用、経済開発等の公共サービスにも対応する窓口である。
特に、2007年に「国民サービス法(Citizen Service Act)」が施行されて以降、住民サービス向上のため、自治体や国、社会保険事務所等の機関の情報を一つの窓口で市民に提供する市民サービス窓口が増加した。窓口は、市役所だけではなく、ショッピングセンターや図書館等、市民がアクセスしやすい場所に設置されており、担当者による直接的な窓口での対応だけではなく、電話やインターネットを通じての住民サービスも提供している。また、自治体が市民サービス窓口で住民に他の自治体のサービスを提供した場合、代わりに住民サービスを行った自治体に対してサービスに対する費用を請求することができる。市民サービス窓口の増加は、国の地方機関の廃止も要因の一つで、より良い住民サービス提供に向けて、窓口サービスの多角化が進められている。
※フィンランド地方自治体協会(Association of Finnish Local and Regional Authorities)への問い合わせによる。