日本の工芸品を出展!! ロンドンのクラフト見本市「HOME」
【記事】日本の工芸品を出展!! ロンドンのクラフト見本市「HOME」
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2016年1月17日(日)から3日間、ロンドンで家庭用品・インテリア雑貨の見本市である「HOME」が開催され
ました。
この「HOME」に日本からも、キッチン用品を中心に全国28社が出品しました。
出品されたアイテムの中には、萩焼(山口県萩市・陶器)や箸(香川県高松市・木工品)などがあります。
出品をアレンジしたのは、日本各地の「職人の技術」「地域の素材」と市場のニーズをマッチングし、地域資
源を活かした商品の販路開拓を支援するプロジェクト「Rincrossing」です。
(独)中小企業基盤整備機構が推進する同プロジェクトでは、2年前からこの「HOME」にブースを出展し、日
本の工芸品を出品しています。
これらの日本の工芸品がロンドンの現地でどのように受け止められているのか、ブース来場者の反応を取
材すると次のような声が返ってきました。
(1)日本の工芸品は全体的にサイズが小さい
欧州の方々は日本人に比べ手が大きく、使うものは全て日本より大きめです。特に持ち手のないカップ(湯
呑み)はその用途も分かりにくいことから、英国の生活スタイルのなかでどのように使えるかは大きさが重要
なポイントとなるようです。
英国もお茶文化ですが、ティーポット(急須)は日本で作られるモノより大きいのに驚きます。それを普通と
捉えている英国人にとって、日本のサイズはやはり小さいと感じられるようです。
(2)男性ターゲットも視野に入れると◎
日本のキッチン用品は女性をターゲットにする傾向にありますが、英国では必ずしも女性が食事を作るので
はなく、男性が作ることも多いようです。 鍋や食器の色一つにしても、シックな色(黒や紺)があるだけで、
男性バイヤーからの引き合いが強くなるとのことです。
(3)「日本的」デザインに対するイメージ
日本的なデザインと言えば、「桜」といった和柄を想像しますし、訪日旅行者に好まれる土産もそういったデ
ザインが多いのかもしれません。しかしながら、見本市に訪れる英国のインテリア関係のバイヤーにとって、
「日本」といえば安藤忠雄のようなモダンな建築家の作品のイメージを想起させるもののようです。
いわゆる「和」を前面に押し出したモノよりも、現地のインテリアに調和しつつ、欧州では見かけにくい性能
美(かつ何となく日本が想像できる要素)を備えたモノが好まれるようです。
(4)英語での情報発信は必須
見本市に出展するということは、他の自社製品も含めて今後の取引の可能性を広げるものです。そのため
には英語の情報ツール(英語のパンフレットやWEBサイト英語)の用意は絶対条件です。
英国で出展する場合はイギリス英語で書かれていれば、より評価が高いようです。
以上、工芸品の海外販路開拓においても、「日本らしさ」を保ちつつ、適切に「現地化」を図ることが成功の
鍵と言えそうです。
また、英国には海外で作られた工芸品を高く評価する文化が伝統的に根付いています。この地で日本の工芸
品を売り込むことは、単に商業的に海外販路を開拓することだけでなく、現地における日本各地の文化・生活に
対する理解を深めることにも繋がるのでは、と感じています。
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(ロンドン事務所 山田所長補佐)