2011年5月18日、オーストリア連邦議会は、連立政権を組む社会民主党(SPO)と人民党(OVP)による賛成多数で、2012年から2015年までの財政枠組法案を可決成立させた。
この法案には、同期間における、連邦予算の主要項目が含まれている。同法に規定されている、各省庁に対する歳出上限により、連邦の財政赤字を2013年までにマーストリヒト基準であるGDPの3%以下に削減することが目指されている。2011年度の財政赤字のGDP比は3.9%以下にすること、またそれ以降は、着実に赤字を削減し、2013年には2.9%、2014年には2.4%、2015年には2%にすることが計画されている。
政府の長期債務残高は増加し続けており、2013年のGDP比は75.5%に達する見込みとなっている。(マーストリヒト基準は60%)これに伴い、国債の利払いは、2010年度分が64億ユーロになる見込みであり、2015年には、100億ユーロに達すると見られている。
一方、この公共支出削減策は、教育、家族政策、司法及び医療の分野に対しては、緩和されることとなっている。上記の財政枠組法の中で、「アクション・プログラム」は1年延長され、2015年まで継続されることとなった。8000万ユーロが義務教育を修了した青少年への政策を拡大するために支出されることとなっており、8000万ユーロに上る特別の基金が大学へ、1億ユーロが研究機関へ、1億ユーロが熱を利用したリハビリテーション・プログラムへ配分されることとなっている。
フェイマン連邦首相は、「財政枠組法を着実に執行していくことが、連邦の責務である。オーストリアは社会福祉政策において先駆け的存在となった。欧州及び国際社会には、社会福祉における公正性及び社会福祉政策の充実を図るために、適切な条件を求めていく。」と述べた。ただし、オーストリア財務相は、2015年までに連邦財政における収支均衡を図る可能性については言及しなかった。
【出典】
オーストリア内務省ウェブサイト
http://www.austria.gv.at/site/infodate__23.05.2011/7459/default.aspx#id43719