調査・研究

ドイツの地方自治情報メモ

ドイツ

州における様々な連立政権

2009年11月11日 

2009年9月27日に、連邦議会の選挙と同時にシュレスウイヒ・ホルシュタイン州とブランデンブルク州のそれぞれの州議会議員選挙も行われた。
2009年には、16の地方選挙と欧州議会議員選挙を含む選挙が実施されたため、「スーパー選挙年」と呼ばれることもあった。そのうち6州で州議会議員選挙もあり、その結果生まれた連立政権を見ると、連邦レベルでの政治的傾向と異なるため興味深い。
最初の州議会議員選挙は、ヘッセン州で1月18日に行われた。ここでは、2008年秋に最後に州選挙があったが、その後連立政権成立が失敗し、選挙をやり直す結果となった。この結果、キリスト教民主同盟(CDU)がトップに出て、自由民主党(FDP)と緑の党も得票率を伸ばすことができたが、社会民主党は敗北し、今度はCDUとFDPの連立政権が無事成立した。

次に、8月30日には、欧州議会選挙と同時に、ザクセン州、テューリンゲン州とザールラント州において州議会議員選挙が行われた。ザクセン州では、CDUは少々票を落としたが、全体では最も強い政党としての座に残った。FDPも票を伸ばし、SPDの得票は減少した。結果として、前のCDU-SPDの「大連合」が崩壊し、ここでもCDUとFDPの連立政権が誕生した。テューリンゲン州では、単独で政権を取っていたCDUは過半数を失ったが、最強党としての座を維持した。左党とSPDは両方得票を伸ばし、緑の党とFDPは1990年以来となる議席を獲得した。SPDと左党の連立は計算上では可能であったが、SPDはCDUの州首相が率いる大連立を選択した。ザールラント州では、CDUとSPDは票を伸ばすことができず、FDP、緑の党及び左党が得票率を伸ばした。ザールラント州における連立形成のための交渉に時間がかかり、11月9日にCDU,FDPと緑の党からなる政権が誕生した。このような連立政権はドイツで初めてである。それは企業優先の政策をとるFDPと環境政策を第一にする緑の党が今まで共有する分野をあまり持っていないためである。

最後の州選挙が行われたシュレスウイヒ・ホルシュタイン州とブランデンブルク州は、連立政権を決めるのにそれほど時間がかからなかった。シュレスウイヒ・ホルシュタイン州は他州と同様、大きな政党(SPDとCDU)は票を落としたが、小さい政党は票を伸ばした。結果的にCDUとFDPによる少数連立政権が誕生した。ブランデンブルク州は、以前CDUとSPDの大連立政権であったが、SPDがほぼ支持率を維持することができ、今度は左党との連立を選んだ。しかし、それについて
は批判も多かった。

州政権の構成は、地方を代表する連邦参議院の構成に直接反映される。
連邦参議院では、州及び地方自治体に影響を及ぼす法律を議論し、議決することとなっている。
シュレスウイヒ・ホルシュタイン州のCDU・FDP連立政権が最近成立したため、
連邦議会及び連邦参議院では同じくCDU・FDPが与党となっている。

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