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業務内容

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活動記録

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2010年09月30日


バジルドン市訪問(都市再生政策、バジルドン・スポーツビレッジを視察)

2010年9月17日にロンドンの東、エセックス県内にあるバジルドン市を訪問しましたので、下記のとおり概要を報告します。

【バジルドン市概要】
・ロンドンの東、約43kmに位置している。市の人口は約17万人。
・ロンドンまで電車で35分、高速自動車道路M 25へのアクセスが便利でスタンステッド空港へは車で約45分、ロンドンシティ空港へは約50分、ガトウィック空港へは約1時間である。建設中のヨーロッパ最大規模となるロンドン・ゲートウェイ港へも約6.4kmと好アクセスである。
・フォード社の研究開発拠点があり(研究開発支出は年間10億ポンド)、農業機械メーカーのNew Holland Agriculture社、情報通信のFirst Data社、電子部品のMK Electric社、コニカミノルタ社などの企業が進出しており、7万5千人の雇用を生み出している。
・2009年にバジルドン市の幹部が中国江蘇省常州市政府を訪問し(エセックス県と江蘇省が友好都市であることがきっかけ)、今後の両市の企業との取引を視野に入れた経済交流連携を開始した。インドの自治体とも同様に経済を中心とした連携を結びたいと考えている。

【都市再生政策】
・バジルドン市はテムズ・ゲートウェイ再開発地域の一部であり、現在、市内中心部のバジルドン地区(バジルドン駅前の地域)とバジルドン・スポーツビレッジを中心とした都市再生政策を実施している。
・バジルドン地区における予算10億ポンド、20年間の再開発計画では既に実施又は建設許可を受けている700戸に加えて1900戸の住宅、宿泊施設、小売店舗やレジャー施設、オフィス等の開発が予定されている。

【バジルドン・スポーツビレッジ】
・3,800万ポンド(約51億3千万円)のプロジェクトである。東イングランド最大のスポーツ施設として、地域の人々の健康増進とスポーツの機会を提供することを目的とし、同時に2012年のロンドンオリンピックでの各選手団のトレーニング地誘致を目指している。最新の設備とオリンピック会場までの近さ(電車で30分)が最大の強みである。
・2009年10月に着工を開始し、2011年4月に完成予定。中心施設は50メートルのスイミングプール、地域の体操競技のトレーニング拠点となる体育館、100台の機器を設置するフィットネススペース、多目的ルームなどから成る施設である。
・スイミングプールは25メートルずつ仕切ったり、深さを調節したりでき、国際大会から幅広い年齢層の地域の住民の利用まで様々な目的での使用を考慮している。450人収容の観客席がある。
・体育館の多目的スペースではバレーボール、バスケットボール、卓球、レスリング、柔道、バドミントンなどのスポーツのためにも使うことができる。屋外には陸上競技場、サッカー場も整備する。
・宿泊施設はないが、周辺にホリデイ・インやプレミア・インなどのホテルがある。また、近くにMRIやCT機器を備えた病院があり、緊急時の体制も整っている。

【建設中のバジルドン・スポーツビレッジの施設】
体育館の多目的スペース
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50mのスイミングプール
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陸上競技場
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2010年09月22日


パリッシュ(Sevenoaks Town Council)の概要

2010年9月17日に、パリッシュ(法律上の準自治体)であるSevenoaks Town Councilを訪問しました。次のとおり、調査概要を報告します。

<Sevenoaks Town Councilのなりたち>
・Sevenoaks Town Councilはロンドン南東部に隣接する、Kent County Council-Sevenoaks District Councilの下にあるパリッシュ。ロンドン中心部からは電車で30分の距離にある。
・1973年以前はSevenoaks Rural DistrictとSevenoaks Urban Districtが自治体として存在していた。この2つが1972年地方自治法によって合併してSevenoaks District Councilとなったときに、同時に同法に基づいてSevenoaks District Councilのパリッシュの一つとして設置された。
・Sevenoaks の名前の由来となった7本の樫の木はもう存在していないが、町のシンボルとして7本の樫の木を植える試みが続けられており、イギリスで最も古いとされるSevenoaks Town Council内にある「The Vine」というクリケット場には、7本の樫の木が植えられている。

<Sevenoaks Town Councilの組織>
・公選により選出された20名弱の議員と事務部局からなる。
・議員の中から1名のMayorが選出され、Sevenoaks Town Councilの代表者としての仕事を行う。また事務部局の長としてChief Executiveという職が置かれている。(County やDistrictの一般的な組織構造に似ている)
・議員の中には、Sevenoaks District Councilの議員と兼職している者も存在する。
・Town Council本体の建物は小さな平屋建てで、半分が議場、半分が事務室となっている。
・Town Council本体の建物が位置する敷地内には、英国赤十字の建物もあり、Sevenoaks Town Councilが敷地を英国赤十字に貸し付けているとのことであった。ただし貸し付けているといっても、赤十字は公的な団体であり、Town Councilのイベント等に救護班を派遣してくれたりすることから、賃料はとらず無償貸与している。
・事務部局職員は、パートタイム職員が多い。Town Councilの業務の一部に、スポーツ事務の管理運営もあることから、同スポーツジムでの様々な体操講座の講師もこれらパートタイム職員に含まれる。また、庭木の手入れを行う職員も雇用されている。

<Sevenoaks Town Councilの主な業務>
①「The Vine」の維持管理
・「The Vine」とは、Sevenoaks Town Council内にあるイギリスで最も古いとされるクリケット場である。クリケット用の広い芝生の広場と小さなクラブハウスからなる。Sevenoaks Town Councilがこれを所有し維持管理を行っている。ただし、芝生の広場部分は地域のクリケットクラブが維持管理を行っている。
・クラブハウスの一部は、Sevenoaks Town Council 現Mayorの父の寄付により建設されたものである。
・The Vineに隣接して小さな庭園があるが、この庭園もSevenoaks Town Councilの所有で、手入れもTown Councilが行っている。


②市民農園の管理運営
・Sevenoaks Town Councilが所有する土地を160区画に分けて、希望者に市民農園として貸し出している。実際には、ボランティア団体に管理運営業務を委託している。
・基本的には、1区画を年間20ポンドで貸付け、借り手は規則の範囲内で好きな作物を栽培できる。現在は約60名が区画の割り当てを待っているほど需要過多な状態である。希望によっては、1区画をさらに2分割または3分割して貸す場合もある。
・1区画あたり20ポンドの賃料は、ボランティア団体の収入となり、市民農園全体の管理運営のために充てられる。また、この収入のうち年間90ポンドがSevenoaks Town Councilの収入となる。
・管理を行っているボランティア団体の組織の一部として、市民農園の利用についての監視を行う委員会が設けられている。この委員会が利用状況についての監視を行い、十分な手入れがなされていない場合など利用が不適切な場合は委員会の決定により利用権が剥奪されることもありうる。
・国の法律等においてこうした市民農園について特段の規制はないが、同ボランティア団体が定める利用規則において、家畜飼育の禁止、栽培した作物の販売禁止等詳細な事項が定められている。
・訪問時、市民農園ではワイン用のブドウ、花卉、様々な野菜が栽培され、区画によっては小さな温室を設置しているところも見られた。
・Sevenoaks Town Council内には、他の地区にも市民農園があり、Sevenoaks Town Councilが直接管理を行っている。同ボランティア団体は、この市民農園についても管理を受託したいとしてSevenoaks Town Councilに委託を要請している。

③Stag Community Arts Centreの管理運営
・以前、Sevenoaks District Councilが管理運営を行っていたStag Community Arts Centreの管理運営を2009年1月からSevenoaks Town Councilが引き継いでいる。Stag Community Arts Centre はDistrict Council管理下で二度、倒産した経緯があるがSevenoaks Town Councilの住民が事業の廃止に反対しStag Community Arts Centreの存続を強く希望したことから、Sevenoaks Town Councilが事業を引き継ぐこととなった。
・Stag Community Arts Centreには、映画館と多目的ホール、メインホールがある。映画館では、子ども連れの家族が楽しめるような映画が民間の映画館と同じようなかたちで上映されている。多目的ホールには、小さな舞台や大きな丸テーブルを約10テーブルほど設置できる。バーカウンターやキッチンも備えられていることから、食事を伴う会議等、様々な用途に活用できる。メインホールは、日本の市民ホールのようなかたちで、大きなステージと壇上になった観客席からなる。
・Sevenoaks District Council管理下では、組織が大きいために意思決定が遅い、Centreの赤字体質を倒産になるまで放置していた等の問題点があったことから、Sevenoaks Town Councilは、Centreの収支を常時注視し、赤字が続く状態に陥った場合にはすぐに改善策を講じるようにしている。また200人規模のボランティアを活用し、Centreの運営にかかる経費を節減する努力をしている。District Councilよりも組織が小さいことで、Town Councilには地域のニーズに応えるための意思決定が迅速に行える強みがあると考えられている。
・Centreのカフェテリアでは、地元の芸術家が書いた絵が壁一面に飾られ、販売されていた。売上げの一部はSevenoaks Town Councilの収入になるとのことであった。

④都市計画の許認可及びTown Council所有の土地の管理
・Sevenoaks Town Council議会の重要な役割の一つとして、都市計画申請の許認可がある。新たな建築物を建設する場合はもちろんのこと、家の屋根の形を変えたい場合や、大きな木を切りたい場合にもTown Councilの許認可が必要となる。このような修理等を行いたい住民はTown Councilに申請を行い、Town Councilは定期的に開く議会において申請を受理するかどうかを決定する。また、議会の5日前には、次回の議会における議題として申請内容が掲示板等を通じて公表される。
・その他のTown Councilが所有する土地についても、Town Councilの景観を美しく維持することに主眼を置いた管理がなされている。例えば、ある程度の広さのある道路沿いの土地も、売却せずに芝生の広場として残すことで、緑の多い美しい町としてTown Councilを維持している。

<歳入及び歳出>
・主な歳入はカウンシル・タックスによるもので、Sevenoaks Town Councilとして必要な額のカウンシル・タックスをSevenoaks District Councilが徴収するカウンシル・タックスに上乗せするかたちで徴税する。District Councilとの関係はこの徴税関係においてのみで、その他の場面においてDistrict Councilから指導、監督が行われることはない。これは、Town CouncilがDistrict Councilとは全く異なる事務を行っているためである。
・使用料も重要な財源であり、特にStag Community Arts Centreは、District Council及びTown Councilからの少額の補助金を除けば、ほぼ使用料を財源として運営されている。
・Stag Community Arts Centreの運営のために、Sevenoaks Town Councilの歳出総額に占める税収額は他のパリッシュと比較すると小さくなっており、この点においてSevenoaks Town Councilは特殊なパリッシュであると言うことができる。

<その他>
①Town Council本体の建物について
・Town Council議場では、宗教によらない結婚式、生まれた子どもを歓迎する儀式を執り行うことができる。このために必要な資格をTown Council議場はKent County Councilから取得しており、その証明書が議場入口に掲げられている。
・その他、結婚記念日の祝事を行うためにも議場を貸し出している。



2010年09月20日


「海外自治体幹部交流協力セミナー帰国報告会」を開催

2010年9月13日にJapan Foundationにおいて、2010年7月末から8月初めにかけて実施した海外自治体幹部交流協力セミナーの帰国報告会を開催しました。今年度及び過去のセミナー参加者、JLGC、日系機関関係者、計24名が参加し、今年の研修の報告や意見交換を行いました。

参加者は環境政策をテーマに行われた東京及び京都府での研修で、日本の地方自治制度や環境政策について学ぶとともに、ホームスティや日本旅館での滞在で日本の文化についての理解を深めました。
世界的な不況の影響を受け、多くの地方自治体が財政難に直面しています。こうした中で、日英それぞれの自治体の現状や取り組みを意見交換し、ベストプラクティスを学び合うこのような機会は、ますます重要になってくると思われます。同時にこれまでの参加者との間に構築したネットワークを今後も大切にしていきたいと考えています。

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2010年09月09日


スピーカーシリーズ「公共調達における競争的調達と協調的調達のバランス」

1 テーマ:「公共調達における競争的調達と協調的調達のバランス」
2 日時:2010年8月25日(水)15:30~17:00
3 講師:明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科 教授 北大路 信郷様
概要は下記のとおりです。

<協調的調達について>
・静岡県の行政専門アドバイザー、総務省契約監視会委員などを務めている。イギリスはモニタリングが厳しく、コストもかかり生産性が低下しているが、日本もこれに近づきつつあるといえる。どのような方法でコストを下げ、行政の質を上げることができるか解明することが、現在の研究テーマである。
・協調的調達を行う良い例として、同じサプライチェーンから長期に渡り安定的供給を受けているトヨタ自動車が挙げられる。
・協調的調達においては評価が重要であり、品質経営で判断基準を設定する必要がある。まず社員に品質経営の技術を習得させた後、同様の品質経営を調達先に求めることとなるため、内部でどれだけ徹底されているかが重要なポイントとなる。

<静岡県における改善の取組>
・日本の経営管理はほぼ民間企業での歴史であり、行政は最近取組み始めた。「改善・現場・方針管理」という言葉は英語圏でも使用されているが、中でも「改善」が最も重要である。またこのセットの作成に10年を要する。
・静岡県では、1993年に当時の石川知事が、支出削減ではなく生産性の向上に焦点を当てた取組を開始した。「ひとり1改革運動」は1998年から取り組み始め、2009年は年間15,722件と10年間で取組件数が3倍に増加した。これは毎日66件の改善に向けた取組が県庁内で行われており、職員一人当たり年間約2件の取組を行ったことに相当する。各自の端末からレポートすることが可能で、全職員が閲覧することができる。現在では、多くの職員にとって日常業務の一部となっていると言える。
・職員の改革意識の高揚と改革成果の共有化を図るため、特に優秀な事例について、毎年3月に事例発表会及び表彰式が行われている。

<改善を成功させるポイント>
・改善は実践することが重要であり、提案に終わっては意味がない。良い改善例があれば、真似をすることが重要である。ティームワークが大切であり、一人の手柄にしないこと。メッセージを送り続けること、改善を楽しむことが重要である。
・目的は生産性の向上であり、支出削減ではない。改善を続けることで、結果として経費が削減される。
・管理方法は現場への権限移譲である。棚卸表に基づいたPDCAをツールとして用い、フェアな数値目標の設定が困難であるため業績評価は行わない。
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