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活動記録

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2008年03月28日


スピーカーシリーズ「イーストサセックスの取組について」

●テーマ:「イーストサセックスの取組について」
●日時:2008年3月28日 10:00~11:45
●講師:イーストサセックスカウンティカウンシル議長Bob Lacey氏

ご講演要旨

【自己紹介】
○私は、イーストサセックスカウンティカウンシル(East Sussex County Council)の議長をしている。
○イングランドには34のカウンティカウンシルがある。
○私は、ロンドンのバラカウンシル(ブレント区)(London Borough of Brent)のリーダーも務めたことがある。1983年にリーダーになった。住宅や社会サービスなどに尽力した。
○銀行での勤務経験もあり、北米をはじめ世界中で仕事をした。東欧の旧共産圏の国の支援にも携わった。
○1987年に当時のサッチャー首相のアドバイザーになった。
○リトアニアの市場開発(opening up)などにも関わった。旧共産圏は、公害がひどく、環境問題としてそれを指摘するのは、右側つまり反共産主義者のほうだった。首相へこうしたことを報告し、外務省からも感謝された。それが私の大英帝国勲章(Order of the British Empire)(OBE)受賞の理由でもある。
○その後Treasurer for Londonを務めた後、引退し、1996年にイーストサセックスへ移った。カウンティカウンシルの議員(カウンシラー)となった後、2年前に議長になった。
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【イングランドの自治体について】
○イングランドの自治体の大きな特色は、国の力が大きいことである。
○私は、雇用や保健、警察などは自治体が担うべきだと考えている。
○ディストリクト(市町村)議会のほとんどは保守党が占めている。
○問題は、地方自治体が、その歳出のうち地方税で賄っているのはわずか3分の1だという点である。イーストサセックスのような予算の大きなところもそうである。残り3分の2は中央政府からの資金で賄われている。
○イングランド全体の財政は、イングランドの北部は受取が多く、南部は持っていかれるほうが多い。
○しかし、イングランド北部だけではなく、南部も、問題を抱えている。特に高齢者の問題が大きい。イーストサセックスはイングランドで最も85歳以上の高齢者が多い。高齢者向け施設など、非常に予算がかかる。南の温暖なところに、引退した高齢者が移住してくることが原因である。


【イーストサセックスの取組】
(教育)
○自治体予算の多くが、学校に関することへ支出されているが、学校の運営に関し、国から非常に多くの関与がなされている。制約が多く、何か新たなことをしようとすると、極めて面倒な手続きが要求される。保守党は、学校がもっと自立すべきだと主張している。
○ソーシャルサービス、特に教育は重要である。
○保育サービスはかつては贅沢品だったが、現在は、住宅ローンを抱えながら子育てをするために、母親が社会に出て働くことが必須となっている。我々のカウンティも、新たな、そして保育時間に柔軟性のある保育所の設置を進めている。
○子供たちの才能は多様である。学校で学ぶより早く社会に出たい生徒もいる。我々は、職があるならば途中で学校を離れる選択肢も与えているし、また、その後戻ってくることも可能としている。
○また、イーストサセックスでは、120人の才能ある子供たちを選び、やりたいことを尋ねた。すると彼らは映画を制作すると答えた。脚本執筆から撮影、編集、音楽作曲まで、あらゆる才能の持ち主がそれぞれの仕事を分担した。天才的な才能を開花させた者もいた。映画の題名は「Get Santa」で、今年の12月に公開予定である。
○今年は、学校内で疎外されている子供たちのために、モチベーター(動機づけを行う指導者)を配置した。モチベーターは、展望台で、何も映らない望遠鏡を子供たちに見させて、「何が見えるか」ではなく「何が見たいか」を訊ねた。子供たちの答えは、「月を走っている人」「チョコレート工場」など様々だった。モチベーターはそのどれもを褒めた。中に、日頃まったくしゃべらない子供がいた。彼は何度も「何も見えない」と答えたが、モチベーターが何度も彼に「見たいもの」を尋ねたところ、最後に彼は「ガンがなくなる日」と答えた。彼が、恐らく家族か肉親の誰かが癌に罹り、そのことに心を痛めてきたであろうことが、明らかになった。
○イーストサセックスは学業成績も優秀である。全国テストで物理のAレベルは全国で5人しかいなかったが、そのうち3人がイーストサセックスの生徒だった。

(道路・公共交通)
○単に道路を整備するだけではなく、「Section 106(注)」や「Capital appreciation」により、沿道の土地を確保し、住宅などを整備している。国へも、住宅と道路は一体的な整備が必要である旨伝えているところである。
○道路の運用、維持管理の経費節減も重要である。照明は必要なときだけスイッチが入るしくみにすることで、経費が節約できるだけではなく、光公害の防止にもなる。また、公共交通を整備するほど、道路の使用が減り、道路の維持管理費もかからなくなる。しかし高齢者などの公共交通の無料化の行きすぎはよくない。公共交通が、無料パスを持っている乗客で占められ、必要な収入が得られない。

(子育て)
○育児にはお金も時間もかかるため、子供を持つことを躊躇する場合がある。イーストサセックスでは、里親(foster)が子供の世話をするしくみも進めている。

(住宅)
○住宅の不足は、住宅の量が足りないことだけが原因ではない。たとえば、未亡人が、夫を亡くした後もひとりで大きな住宅に住み続けていることがある。この家を他の人々と分け合って住むことは、住宅の不足の緩和に貢献するだけではなく、孤独になりがちな一人暮らしの人間の、社会との接点づくりにも役に立つ。

(文化)
○文化行政の重要性も高まっている。人々の地域参加にも役立つし、地域の強化にもつながる。
○文化は多様であり、それぞれである。
○宝くじ資金は、ボランティア活動や文化プロジェクトに使われている。運営ではなく、投資により多く使われるべきである。
○2012年オリンピックに関しては、イーストサセックスにはいくつか良いスポーツ施設があるものの、国際的な公式競技基準にあわないものもある。施設整備の際は、総合的な視点も重要である。

(環境)
○「Buy with confidence」スキームにより、環境に配慮した、あるいはフェアトレードに配慮した製品の購入を推奨している。
○環境に配慮している地元の企業を表彰している。
○ゴミは、埋め立て場所が限界に達しようとしている。焼却はまだまだ進んでいない。ごみ焼却施設建設には反対もあるが、焼却することで、エネルギー利用もできる。また、リサイクルも進める必要がある。リサイクルは、一旦始まると、良いサイクルとなり、人々がさらにリサイクルをするようになるはずである。

(計画・開発)
○計画は、一番地元のことをよく知っている、地元の人々が決めるべきである。
○デベロッパーへ対抗していくことが重要である。
○他の街にとって良いものが、我々のところでも良いわけではないのである。

(経済開発)
○働く人々が増加しているが、まだまだオフィススペースが足りない。
○荒れ果てた土地だった場所に、公園と湖と道路をつくり、「Section 106」アグリーメントにより住宅をつくった。企業を立地させ、銀行ができ、綺麗で住みたくなるような場所になった。
○企業を育てるには、企業のハブをつくることが必要である。ある企業が立ち上がった後、行き詰る理由の多くは、その事業内容がまずいからではなく、電話に出られなくて顧客からの連絡を逃してしまうことにある。マンションの一室で孤独にやっていてはだめなのである。そのため、ハブをつくり、電話受付業務や秘書業務を各企業で共有する。企業が一か所に集まっていることで、銀行や弁護士や会計士もアクセスしやすくなる。
○こうした蜂の巣のようなシナジー(相乗効果)のしくみが有効である。そして、賃料を最初は安くし、企業が成長したら出ていくようにする。うまくいかない場合も出ていかなければならないが、利益の10%を納めることを条件に、延期できるようにする。自治体の収入確保にもなる。
○ひとつの企業が成長すれば、多くの経済効果が波及する。

(警察・消防)
○警察・消防は国のコントロール下にあるが、いずれも予防が非常に重要である。
○そして予防を担うのは自治体である。
○国は自治体のそうした取り組みがやりやすいような法規制を行うべきである。しかし、たばこの規制を厳しくしすぎて、隠れてたばこが吸われ、火災につながるなどの矛盾も生じている。

(その他)
○自治体のチーフエグゼクティブは、政治家がコントロールすべきである。
○また、政治の動きに左右されない、官僚組織も重要である。
○我々の自治体の、住民からの評価は高い。それは、常に我々が、施策とその成果について説明しているからである。


【質疑】
○(バーネットフォーミュラについて)スコットランドを助けることは重要であるが、かなりの金額がかかる点が問題である。そして、ある課題を解決しても、また別の問題が出ることを忘れてはならない。たとえばスコットランドの家畜に関する補助金や規制は、笑い話になっているような失敗例もある。
○(政権が労働党で、しかし自治体は保守党が多いことについて)政権に対する批判が自治体の選挙に反映する傾向があるのではないか。また、逆に保守党だけになってしまってはいけないと考えている。敵がいればこそ、常に自分たちの政策を説明しなければならず、緊張感を持続できる。
○(イングランド南部について)南の人々は、都市のことを田舎に適用してほしくないと思っている。労働党は基本的に都会に基盤を置いた政党である。たとえば、都会で病院を一か所廃止することの影響と、同じことを田舎でやったときの影響は、同じであるはずがない。
○(政治家と自治体について)政治色のない公務員による安定性も必要である。また、議員は無給でよいと思う。他に職業があって、社会に参加していればこそ、社会のことが分かるのである。なお、政党間の違いというものは、20%くらいしかないと思っている。個人間の意見の違いのほうが大きいくらいである。そして、多様な意見をまとめるのが政党の役割である。
○(民間での経験と公務員について)多様な経験を持つ人材が必要である。
(以上)
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(注)Section 106:
「Town and Country Planning Act 1990」のSection 106に定められているため、このように呼ばれる。地方計画当局(local planning authority(LPA))が、デベロッパーと、様々な事柄について、法的拘束力のある合意(計画義務ともいう。)をすることができるものである。合意の内容の例は、開発により自治体に発生するコストについてのデベロッパーの一定の負担、緑地の保全のための自治体への土地所有権移転、土地利用目的の制限、デベロッパーによる植林や自然保護などである。デベロッパーを規制することができるため、開発の影響を最小限にするなどの目的で利用できる。英国において安価な住宅建設を確保する主要な手段となっている。

(注記)
※この記録は、イーストサセックスカウンティカウンシル議長Bob Lacey氏が自治体国際化協会ロンドン事務所において英語にて行った講演の内容について、同事務所職員が概要を日本語にてメモしたものであり、必ずしも同カウンシルまたは同議長の公式な見解等を示すものではない。



2008年03月14日


ロンドン2012セミナーに出席

イーストロンドン大学のロンドンイースト研究機関が開催した、2012年ロンドンオリンピックの影響に関するセミナーに出席しました。




地方公務員海外派遣プログラムの最終報告会を実施

地方公務員海外派遣プログラム参加者による、研修の最後を飾る報告会を研修先のバーミンガム大学で実施しました。平成19年度は奈良県からの研修生でしたが、「Health Promotion Policy –strategies on a local level-」と題して、英国、特にバーミンガム近隣の健康促進政策について、背景やその原因について考察した後、自治体のデータや実践例(肥満問題、アルコール問題、禁煙問題、コミュニティでのアプローチなど)についての発表がありました。



2008年03月13日


都市と農村の連携に関する会議に参加

3月13日と14日の二日間に渡ってドイツのルッケンワルデ市で開催された、都市と農村部の連携に関する会議に出席しました。会議の席ではブランデンブルグ州の取り組みの紹介があった一方で、当事務所からは日本の現状や地域間の連携事例についての発表を行いました。



2008年03月12日


自治体幹部招へいセミナー参加者会議を開催

平成20年3月12日に、これまでにセミナーに出席された方々をお招きして、研修の報告会を実施しました。

会議では、アーガイル アンド ビュート・カウンシルのジェームズ・マクレラン氏、ゲイツヘッド・カウンシルのイアン・ラザフォード氏から平成19年度セミナーの報告をしていただき、またクルーウェ アンド ナントウィッチ・バラカウンシルのブライアン・シルベスター氏から平成12年度と平成15年度のセミナーの感想についてのお話があった後、意見交換が行われました。
さらに、日本大使館、国際交流基金、JETRO、JNTOなどの各機関からも日本の現状や取り組みについての説明があり、出席者の方々に日本に関する情報提供をすると共に、今後の協力関係の維持をお願いしました。

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2008年03月08日


スウェーデンとオーランドの自治体を訪問

3月4日~8日に、スウェーデンの地方自治体協議会(SALAR)、在スウェーデン日本国大使館、ストックホルム市Hägersten -Liljeholmen地区委員会及びニュシェーピングコミューン並びにフィンランドのオーランド自治政府を訪問し、地方自治制度や最新の動向についての調査を行いました。



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